引き続き、ピアノ部門予選第3日目のレポートです。


目次
- 第3日目の演奏
05月27日(月)
- キム・ドンギュ・レオ(韓国) KIM Dongyu Leo(Korea)
- ハン・キュホ(韓国) HAN Kyushu(Korea)
- ツァイ・ヤンルイ(中国) CAI Yangrui(China)
- ガビス・ライヒェルト(スイス) Gabiz REICHERT(Switzerland)
- イリヤ・シュムクレル(ロシア) Ilya SHMUKLER(Russia)
- キム・ジュンヒョン(韓国) KIM Junhyung(Korea)
- カテリナ・ガラーニチ(ウクライナ) Kateryna GARANICH(Ukraine)
- 樋口一朗(日本) HIGUCHI Ichiro(Japan)
- 沢田蒼梧(日本) SAWADA Sohgo
- フィリップ・ショイヒャー(オーストリア) Philipp SCHEUCHER(Austria)
- セミファイナリスト
- 終わりに
第3日目の演奏
05月27日(月)
キム・ドンギュ・レオ(韓国)
KIM Dongyu Leo(Korea)
- ハイドン:ピアノ・ソナタ ハ長調Hob.XVl:50
- スクリャービン:幻想曲op.28
- ブラームス:4つの小品op.119
ピアノはスタインウェイ。
圧倒的な力強さを感じた。
前へ向かうパワーが伝わってきて何だかエネルギーがチャージされたような気がする。
ハン・キュホ(韓国)
HAN Kyushu(Korea)
- ベートーヴェン:アンダンテ・ファヴォリ ヘ長調WoO57
- ショパン:バラード第2番ヘ長調op.38
- ラヴェル:夜のガスパール
ピアノはスタインウェイ。
優しい雰囲気のベートーヴェンだった。
音ひとつひとつがキラキラ輝いていて、まるで高級パールだ。
続くショパンは、やわらか~い音ではじまった。
涙が出そう…。
激しく盛り上がる部分もきっちり計算されている。
熱くなり過ぎず…落ち着き過ぎず…。
リアル鳥肌。感動だ。
そしてラヴェルではまた違った色を感じさせてくれた。
素敵過ぎる…。
ツァイ・ヤンルイ(中国)
CAI Yangrui(China)
- ハイドン:ピアノ・ソナタ ホ長調Hob.XVl:31
- スクリャービン:ピアノ・ソナタ第4番op.30
- チャイコフスキー:四季op.37bis 5月「白夜」、11月「トロイカ」
- ブラームス:パガニーニの主題による変奏曲op.35第1巻
ピアノはスタインウェイ。
欠点がないのが欠点だ。人間なのに…。
SF映画に出て来る近未来の地球人かと思った。
全てが完璧なんだもの。
音はつやつや。
エネルギッシュだけれどもコントロールされている。
しかも自然体。
素晴らしい。
ガビス・ライヒェルト(スイス)
Gabiz REICHERT(Switzerland)
- J.S.バッハ(ブラームス編曲):左手のためのシャコンヌ(無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番ニ短調BWV1004)
- ハイドン:ピアノ・ソナタ変ホ長調Hob.XVl:52
- ラフマニノフ:練習曲集「音の絵」第1番ハ短調op.39-1
- ラフマニノフ:練習曲集「音の絵」第9番ニ長調op.39-9
ピアノはスタインウェイ。
ありあまる勢いが伝わってきた。
そして…
彼の中での自己対話がこちらまで聞こえてくるような気がした。
イリヤ・シュムクレル(ロシア)
Ilya SHMUKLER(Russia)
- モーツァルト:ピアノ・ソナタ ニ長調K311
- ラヴェル:夜のガスパール
ピアノはカワイ。
モーツァルトでは前へ前へ…という気持ちが伝わってきた。
続くラヴェルが絶品。
神秘的で深みのあるオンディーヌ。
…と…ここで幻影が…。
ガバ〜っと本当に水の精が出て来たかと思ったわ。
絞首台では響きの変化が丁寧で味わい深かった。
そしてスカルボ。
休符の扱い方がとってもお洒落。
「ハッ」「ホッ」…と…またしてもスカルボの幻影が…。
粋なラヴェルだった。
キム・ジュンヒョン(韓国)
KIM Junhyung(Korea)
- ヴィトマン:11のフモレスケ第4曲「森の情景」、第11曲「ユーモアと繊細さを持って」
- シューマン:フモレスケ変ロ長調op.20
- クライスラー(ラフマニノフ編曲):愛の喜び
ピアノはスタインウェイ。
あか抜けた音が印象的。
しっかりコントロールされていて、かつ、溢れんばかりの気持ちがぐいぐい伝わってくるようだった。
カテリナ・ガラーニチ(ウクライナ)
Kateryna GARANICH(Ukraine)
- ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第7番ニ長調op.10-3
- リスト:超絶技巧練習曲集 第10曲へ短調S139-10
- ヒナステラ:アルゼンチン舞曲集op.2
ピアノはカワイ。
黒のアシンメトリードレスがとってもお洒落。
ふわっとした雰囲気ながら、一気にばく進したようなエネルギッシュな印象だった。
樋口一朗(日本)
HIGUCHI Ichiro(Japan)
- ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ変ホ長調op.22
- スクリャービン:ピアノ・ソナタ第5番op.53
- リスト:グノーの歌劇「ファウスト」のワルツS407
ピアノはスタインウェイ。
スタイリッシュで統制が取れていた。
シンプルな音が色んな想像をかき立ててくれた。
とってもスマートで好印象。
沢田蒼梧(日本)
SAWADA Sohgo
- シューマン:謝肉祭op.9
- ドビュッシー:前奏曲集 第2集 第4曲「妖精は良い踊り子」、第5曲「ヒースの草むら」、第12曲「花火」
ピアノはカワイ。
ドビュッシーからスタート。
旨味のある音が心に響いてくる。
次第に気持ちが入り込んでいくのが伝わってきて、こちらの気持ちも高ぶってきた。
フィリップ・ショイヒャー(オーストリア)
Philipp SCHEUCHER(Austria)
- ベートーヴェン:幻想曲op.77
- ラヴェル:鏡 第4曲「道化師の朝の歌」
- リスト:暗い雲S199
- ストラヴィンスキー:ペトルーシュカからの3楽章
ピアノはスタインウェイ。
情景が浮かび上がってくるようなリストだった。
全体的にエキサイティングな印象。
ストラヴィンスキーは純粋に愉しかった。
セミファイナリスト
- ツァイ・ヤンルイさん
- 小林 海都さん
- バロン・フェンウィクさん
- イリヤ・シュムクレルさん
- パク・スホンさん
- 平間 今日志郎さん
- チェ・ホンロクさん
- ハン・キュホさん
- 佐藤 元洋さん
- キム・ジュンヒョンさん
- ダリア・パルホーメンコ さん
- 樋口 一朗さん
終わりに
今回参加されていた若い方々は皆ハイレベルだ。
これまでどれだけどんな努力をしてきたのか?
どういう生活をしてきたのか?
想像すると、ただもう脱帽。
実に濃い充実した3日間だった。

